御社と貴社の正しい使い分け方
御社・貴社とは何か？意味と違いを解説
「御社（おんしゃ）」と「貴社（きしゃ）」は
いずれも相手の会社を敬って呼ぶ表現ですが、
使う場面によって適切な使い分けが求められます。
- 御社：話し言葉で使われる敬称。
電話や面接、商談など、
口頭でのやり取りで用いられます。
- 貴社：書き言葉で使われる敬称。
メールや書類、報告書、履歴書などの
文章中に使用されます。
いずれも相手企業に対して敬意を示す言葉ですが、
場面を誤ると失礼にあたる可能性があるため注意が必要です。
ビジネスシーンでの「御社・貴社」の使い分けの基本
ビジネスの現場では、敬称の使い分けは基本的なマナーです。
次のように使い分けましょう。
- 会話中やプレゼンテーション、電話応対などの口頭表現 → 「御社」
- メール、文書、提案書、報告書などの文章表現 → 「貴社」
このルールを守ることで、誤解や失礼を避け、
より丁寧な印象を与えることができます。
間違えないための注意点とポイント
- 「貴社」は口頭で読むと「きしゃ」となり、
「記者」との聞き間違いを招くことがあるため、
話し言葉では避けるのが一般的です。
- 「御社」は文章に使うとややカジュアルな印象を
与えてしまうことがあります。
一度使い分けをミスしても、迅速かつ丁寧な
修正対応をすれば問題にならないことも多いです。
メールでの「御社」と「貴社」の正しい使い方
メールで御社と貴社を使う際の例文
- 【良い例】
- 「貴社のご提案内容を拝見いたしました。」
- 「貴社の製品に非常に興味を持っております。」
- 【NG例】
- 「御社のご提案内容を拝見いたしました。」
（※メール文面では「貴社」が適切）
メールで御社と書いてしまった場合の対処法
もしメールで「御社」と記載してしまった場合、
すぐに謝罪や訂正をする必要はありませんが、
次回以降は「貴社」に修正しましょう。
状況に応じて「先ほどのメールにて、
『御社』と記載いたしましたが、正しくは『貴社』でございます。
失礼いたしました。」とフォローを入れると丁寧です。
ビジネスメールでの敬称のマナーと注意点
- メールは書き言葉なので「貴社」を使うのが基本
- 複数回登場する場合でも統一して「貴社」と書く
- 社名＋「様」を使うのも丁寧な表現になる
（例：「○○株式会社様」）
履歴書・エントリーシートでの「御社」と「貴社」の書き方
履歴書やESにおける敬称の正しい使い方
履歴書やエントリーシートといった正式な書類では
「貴社」を使うのが適切です。
「御社」は口頭の場、つまり面接時の会話などで使用しましょう。
就活・転職活動での御社・貴社の注意点
- 履歴書・職務経歴書では「貴社」
- 面接や説明会などでは「御社」
- 企業研究や自己PR文などでも書き言葉では「貴社」が基本
面接や企業への志望表現としての活用法
面接では自然な口調で「御社」を使用し、
相手に敬意を表すことが大切です。例文としては、
- 「御社の企業理念に深く共感しております。」
- 「御社で培った技術力をさらに活かしたいと考えております。」
文章では「貴社」、口頭では「御社」を使うという基本をしっかりと意識し、
場面に応じた正しい言葉遣いでビジネスシーンを乗り切りましょう。
「御社」「貴社」を間違えた場合の影響と訂正方法
間違いが与える印象とそのリカバリー対策
ビジネスの場で「御社」と「貴社」を間違えて使ってしまうと、
相手に対して配慮や敬意を欠いた印象を与える可能性があります。
特に書面やメールなど記録が残る形での誤用は、
相手の心証を悪くしてしまうこともあるため注意が必要です。
リカバリーとしては、誤りに気づいた時点で速やかに訂正し、
謝意を伝えることが大切です。
「恐縮ですが、先ほどの表現に誤りがございました。
『御社』と申し上げるところを『貴社』と記してしまいました。」
などと丁寧に説明し、誠意をもって対応しましょう。
電話や会話で敬称を間違えた場合の対処法
口頭で「貴社」と言ってしまった場合でも、焦る必要はありません。
落ち着いて、すぐに言い直すのが基本です。
たとえば、「あ、失礼しました。御社のご対応についてですが……」
のように自然に訂正しましょう。
ビジネスの現場では、言い間違いよりも、
その後の対応が相手の印象を左右します。
誠実さと冷静さを持ってリカバリーすることが大切です。
正しい訂正例とケーススタディ
【ケース1】メールで「貴社」と記載したが、実際には会話中の場面だった：
誤：貴社の製品に大変関心がございます。
正：御社の製品に大変関心がございます。
訂正文例：
先ほどのメールにて表現の誤りがございました。
「貴社」と記載いたしましたが、正しくは「御社」でございました。
深くお詫び申し上げます。
【ケース2】プレゼン中に「御社」と言うべきところを
「貴社」と言ってしまった：
即座に、「申し訳ございません。御社におかれましては……」
と訂正することで誠意を示せます。
「御社」「貴社」の具体的な使い分けシーン解説
社内と社外での使い分けのポイント
「御社」は会話など音声コミュニケーションの際に用い、
「貴社」は書面や文書でのやり取りに使用するのが基本的なマナーです。
社内での共有メモや議事録には「貴社」を使い、
商談や会議での発言には「御社」を使うというように、
場面ごとに使い分ける意識が重要です。
一般企業・団体や学校法人の場合の表現の違い
企業であれば「御社／貴社」が基本ですが、
団体や法人、学校の場合はそれぞれの組織に応じた敬称を使います。
例えば、学校法人に対しては「貴校」や「御校」、
病院などの医療機関には「貴院」や「御院」といった表現が適切です。
企業訪問や商談時の御社・貴社の使用例
商談の冒頭では
「本日は御社にお伺いさせていただき、ありがとうございます」
といったように「御社」を使い、
後日送るお礼メールでは「貴社益々のご発展をお祈り申し上げます」
といったように「貴社」を使うのが一般的です。
ビジネスマナーとしての御社・貴社の重要性
敬称が企業印象に与える影響を知る
敬称の使い方一つで、その人のビジネスマナー全体の評価が
左右されることがあります。
特に初対面の商談や、目上の相手とやり取りをする場面では、
敬称の正確さが信頼関係の構築に直結します。
ビジネスシーンでの正しいコミュニケーション手法
敬称だけでなく、話し方や書き方もトータルで意識することが大切です。
文章では敬語の整合性を保ちつつ、
話す際には相手を尊重する姿勢を常に意識しましょう。
「御社」や「貴社」を適切に使い分けることで、
細部まで気を配るビジネスパーソンとしての評価が高まり、
円滑な関係構築にもつながります。
採用選考や担当者とのやりとりでの注意点
就職活動や採用担当者とのやりとりでは、
特に敬称の使い方に細心の注意を払う必要があります。
電話での会話では「御社」を、
履歴書やエントリーシート、メールでは「貴社」を使うのが基本です。
これらを正しく使い分けることで、
相手企業に対しての理解と敬意を伝えることができ、
信頼を得る第一歩となります。
御社・貴社を使いこなすための言語知識
敬称と二重敬語の避け方を理解する
ビジネスシーンでは敬語を正しく使うことが信頼の第一歩となります。
「御社」「貴社」もまた、
相手を敬う表現として頻繁に用いられますが、
使い方には注意が必要です。
特に注意したいのが“二重敬語”です。
たとえば、「御社様」や「貴社様」といった表現は、
敬意の重ねすぎとなり、不自然な印象を与えてしまいます。
すでに「御」や「貴」という敬語が含まれているため、
それ以上の敬称を重ねるのは避けましょう。
書き言葉・話し言葉での使い方の違い
「御社」と「貴社」はどちらも相手企業を敬って呼ぶ言葉ですが、
使い分けが求められます。基本的に、
- 話し言葉では「御社」
- 書き言葉では「貴社」 が使われます。
たとえば、面接や電話で
「御社の理念に共感しました」と述べるのは自然ですが、
履歴書やメールでは「貴社の理念に共感しております」
と書くのが適切です。
場面に応じて言葉を使い分けることで、
よりスマートな印象を与えられます。
尊敬語・謙譲語・丁寧語の基本と例文
敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分類されます。
- 尊敬語：相手の動作を高める（例：「いらっしゃる」「なさる」）
- 謙譲語：自分の動作を低める（例：「伺う」「申し上げる」）
- 丁寧語：文全体を丁寧にする（例：「です」「ます」）
例文として、
- 「貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。」（書き言葉）
- 「御社の商品には大変興味があります。」（話し言葉）
といったように使い分けましょう。
就活・転職活動での御社・貴社の活用術
志望動機を伝える効果的な言葉選び
志望動機を書く際には、相手企業への敬意を示す言葉として
「貴社」を使うのが一般的です。
たとえば、「貴社の〇〇事業に強く魅力を感じております」
といった表現が好まれます。
一方で、面接などで話す場合は「御社」を用いて
「御社の〇〇事業に携わりたいと考えております」と伝えると自然です。
面接・説明会での場面ごとの適切な敬称
企業の説明会や面接では、基本的に「御社」を用います。
ただし、司会進行や第三者に企業を紹介する場面では、
「〇〇株式会社様」や「貴社」といった別の敬称も
状況に応じて使い分けが必要です。
柔軟に言葉を選ぶスキルは、
社会人としてのマナー力を測る指標ともなります。
転職エージェント・求人情報での御社・貴社の使用例
転職エージェントとのやり取りでは、
企業名を出す際に「貴社」がよく用いられます。
求人票や推薦状などの書類でも「貴社」が基本です。
一方、担当者と直接電話する場合や面接練習では
「御社」を使うとよいでしょう。
このように、書く場面と話す場面で使い分けることが重要です。
御社・貴社に関連する誤解をなくすQ&A
「御中」との違いは？知識を深める解説
「御社」や「貴社」は会社そのものを敬って指す言葉ですが、
「御中」は部署や団体に宛てた敬称です。
たとえば、封筒に「〇〇株式会社御中」と書くのは正しいですが、
「御社御中」や「貴社御中」とは書きません。
役職や部署名の後に「御中」を使うのが適切です。
業界・職種による呼称の変化に対応する方法
一部の業界では「御社」「貴社」よりも「御行（ごこう）」「御校（ごこう）」といった独自の呼称を使う場合があります。たとえば、銀行業界では「御行」、学校関係では「御校」、医療業界では「貴院」「御院」などが用いられます。業界ごとの慣習に応じた呼び方を把握しておくことは、より信頼されるビジネスパーソンへの一歩となります。
混同しやすいポイントとその回避法
「御社」「貴社」の混同は、
特に就活や転職の初期段階で起こりやすいものです。
回避するためには、
- 書くときは「貴社」、話すときは「御社」と覚える
- 文章作成前に一度音読してみる
- テンプレートを用意して使い分けのパターンを
確認 といった工夫が有効です。
丁寧な準備と実践が、自然な言葉遣いにつながります。
「御社」と「貴社」はどちらも相手を敬うための大切な表現です。
場面に応じて正しく使い分けることで、
あなたの言葉がより丁寧で信頼感のあるものとなり、
ビジネスの成功へとつながるでしょう。
まとめ：御社と貴社の正しい使い分けで信頼されるビジネスパーソンに
「御社」と「貴社」は、
いずれも相手企業に敬意を表す表現ですが、
それぞれ使う場面が異なります。
話し言葉では「御社」、書き言葉では「貴社」を使うという
基本ルールを押さえることが、ビジネスマナーの第一歩です。
また、万一使い間違えても、
迅速かつ丁寧に訂正すれば信頼を損なうことはありません。
むしろ、その後の対応の仕方が評価されるポイントになります。
履歴書やメール、商談やプレゼンなど、
シーンごとの使い分けを正しく実践することで、
相手に敬意が伝わり、良好な関係構築につながります。
さらに、業界や組織によっては「貴校」「御行」「貴院」など、
適切な敬称が異なる場合もあるため、
状況に応じた使い分けの意識が重要です。
敬語の基本を押さえ、
「御社」「貴社」を自然に使いこなすことは、
信頼されるビジネスパーソンになるための大切なスキルです。
